栄養/健康
■抗酸化食品
■活性酸素を消し去るSOD酵素

活性酸素の害が話題にのぼることが多いこの頃ですが、活性酸素を消す薬はあるのでしょうか。活性酸素が多くの病気の原因になっているなら、それを消したいと考えるのは当然のことですが、残念ながら、そんな薬はありません。それどころか薬剤は活性酸素を増やしてしまいます。治療で薬を使っている人は、薬の効果によって病気を治している一方で、その薬が活性酸素を大量に発生させて、体を傷つけていることを知るべきです。活性酸素を消し去るためのSOD酵素を人間は持っています。しかし、その働きは加齢につれて弱ってきます。女性の場合、25歳は「お肌の曲がり角」と呼ばれていますが、これはSOD酵素の働きの低下によって活性酸素が多く発生するようになって、皮膚の細胞が破壊されているからだ、と説明されています。破壊されるのは皮膚の細胞だけではなく、外からは見ることができない体内の細胞も同じように破壊されているのです。

 SOD酵素の働きは亜鉛、マグネシウム、鉄、銅といったミネラルが含まれている食品を補給することで、ある程度は高めることはできます。しかし、現在のように活性酸素が多量に発生する環境で、しかも食べ物に含まれるミネラルが低下している中にあっては、ミネラルを補給するだけで活性酸素に打ち勝つことはむずかしいでしょう。そこで摂りたいのがSOD様酵素が含まれた食品です。SOD酵素は私たちの体の中にある酵素ですが、その酵素と同じ働きをする植物や動物に含まれている酵素をSOD様酵素と呼んでいます。まったく同じではないものの、活性酸素を消し去る作用があるので、これが含まれた食品を摂っていれば、活性酸素に打ち勝つことができるわけです。そのSOD様酵素が豊富に含まれている食品としてはキノコ類、野草類、豆類などがあげられます。中でもキノコ類には強い抗酸化作用が認められていて、免疫力を高めることが知られているメシマコブ、アガリクス、マイタケ、ヤマブシタケなどは抗酸化力も強くなっています。

■細胞に電子を与えるビタミン

 SOD酵素とSOD様酵素のほかにも活性酸素を消し去る方法はあります。その一つは欠けた電子を与えるビタミンを摂ることです。活性酸素は欠けた電子が元に戻ることで、害のない正常な酸素に戻ります。活性酸素によって電子が奪われた細胞に対しても、電子を与えることで、それ以上は細胞の破壊が起こらないようにしてくれます。その電子を与える役目をしているのはビタミンA(βカロチン)とビタミンEです。βカロチンは植物に含まれていて、体の中でビタミンAが不測したときにビタミンAに変化します。ビタミンA(βカロチン)は、活性酸素によって電子を奪われた細胞に欠けた電子を直接的に与えます。ビタミンEも同様に電子を与えますが、電子を与えてバランスが崩れると活性型ビタミンEとなってしまいます。この活性型ビタミンEは、活性酸素よりも細胞を破壊しやすくなっています。これではビタミンEが豊富に含まれる食品を多く摂ったらマイナスにもなりかねません。このマイナス面をサポートしてくれるのがビタミンCの働きです。ビタミンCがあると活性型ビタミンEは正常なビタミンEに戻ることができますが、このことによって害がなくなるだけでなく、ビタミンCによってビタミンEは再び活性酸素を消し去ることができるようになります。ビタミンCには、単独でも活性酸素を消し去る働きがあります。美容を目的としたサプリメントにビタミンA・C・Eを組み合わせたものが多いのは、この組み合わせによって活性酸素を消しやすくなるからだったのです。

■体の細胞を守る抗酸化物質

 活性酸素には電子を取りやすいものから順番に奪っていく性質があります。そこで体の細胞よりも電子が奪われやすいものが体内に多くあれば、そこから先に奪い、細胞は活性酸素から守られることになるわけですが、その働きをしているのが抗酸化物資と呼ばれるものです。その代表が植物などの色素です。紫外線が活性酸素を発生させることは先にふれましたが、植物が紫外線を浴びて活性酸素が多く発生することで細胞が破壊されていたのでは成長することも、生き延びることもできなくなります。そこで紫外線による活性酸素の発生に対応するために、抗酸化物質を色素の形で作り出しているのです。植物の色素は紫外線が強いほど多くなり、濃くなる傾向があるので、太陽光が強い赤道に近づく地域ほど植物の色は濃くなっています。色鮮やかな野菜を見ると、その原産地は赤道近くが多くなっています。たとえば、トマトやトウガラシ、ナスはペルー、レモンはインド、メロンはエジプトというように。ワインやココアに含まれるポリフェノールに抗酸化作用があることは健康雑誌、テレビなどで有名になりましたが、ポリフェノールは植物に含まれる茶色の色素で、これも日差しが強いところで育ったものには多く含まれています。

 沖縄の海で獲れる魚は熱帯魚のように色鮮やかなことが知られていますが、これも紫外線に対抗するための色素を多く作りだし、内部に多く含まれている結果です。同じ地域であっても、浅瀬に棲息する魚は色鮮やかで、深いところに棲息する魚ほど色は薄くなっています。これも紫外線の強さが影響している一つの証拠としてあげられていることです。これらの色素を食品を通して多く摂り入れることで活性酸素が消しやすくなるというわけですが、活性酸素には複数のタイプがあり、それぞれの色素によって消しやすい活性酸素も違っています。また、抗酸化物質は種類によって体内の集まりやすい部位があり、全体的に活性酸素を消し去るためには、いろいろな色素を摂ることが必要になってきます。どの抗酸化食品が活性酸素を消し去る力が一番強いかを気にするのではなく、いろいろな食品から色素を摂ることを考えるべきです。

■活性酸素は膝痛を増強させる

 活性酸素が体内で多く発生すると細胞を破壊していくだけでなく、炎症を起こし、炎症が続くと内臓や関節の痛みを引き起こすことも知られています。とくに関節は活性酸素が多量に発生すると、その部位が傷つきやすく、痛みも活性酸素の発生量に比例するように強くなっていきます。膝などの痛みを訴える人は加齢につれて増えていきますが、その原因として活性酸素があげられているのです。膝の痛みの原因には老化、外傷、病気(リウマチなど)がありますが、老化によるものが最も多く、その大半は変形性膝関節症によるものです。変形性膝関節症は、膝の骨の軟骨がすり減り、骨と骨とが触れ合うようになり、骨の神経が刺激されて痛みが生じるものをいいます。患者の80%は女性ですが、これは女性のほうが膝を取り巻く筋肉が弱くて関節に負担がかかりやすいことと、女性は中高年から体重が増えるために軟骨が受ける刺激が強くなり、すり減りが早くなることが考えられます。

 膝の軟骨が減って、刺激が強くなると、そこに活性酸素が発生しやすく、活性酸素を消し去らないと痛みは軽減しにくくなっています。膝の軟骨を戻す薬は存在していませんが、軟骨の成分であるグルコサミンを健康食品として摂ることで軟骨が再生されていくことが知られています。骨と骨との間には潤滑液があり、これを増やすことでも膝の刺激は減っていきます。この潤滑液となるのはコンドロイチンで、サメ軟骨を使った健康食品で補うことができます。これらの成分を摂っても、活性酸素が多量に発生していたのでは、痛みが残るだけでなく、軟骨を再生させていくのを遅らせることにもなります。軟骨の再生を進める酵素の働きを活性酸素が邪魔をするとともに、軟骨が壊されるのにも活性酸素が関係していると考えられているのです。膝の関節だけでなく、多くの痛みにも活性酸素は関係しています。また、全身の細胞を傷つけるということで、神経細胞にも影響を与えていくので、痛みを抱えている人は、積極的に活性酸素を消し去る工夫を取り入れたいものです。

■血流促進にも抗酸化食品が有効

 細胞を再生させていくときには、傷んだ部分に材料となるタンパク質などの栄養成分を運び、さらに細胞の再生に欠かせないビタミン、ミネラル、そしてSOD酵素などの重要な栄養素も効率的に届けていかなければなりません。ところが、活性酸素が大量に発生すると、血流が悪くなるために、その働きが低下します。活性酸素は血液中のLDL(低比重リポたんぱく)を酸化させます。LDLは悪玉コレステロールと呼ばれるもので、酸化することによって血管が硬くなる動脈硬化が進んでいきます。また、活性酸素は血液中に多くあることから、活性酸素そのものによっても血管は傷つけられ、弾力性が失われていきます。これだけでも血流が悪くなりますが、血液中の中性脂肪も活性酸素によって酸化することで血液がベタつくようになり、ますます血流が悪くなっていきます。

 日本人の死因の第1位はガン(約30%)で、第2位が心臓疾患(約15%)、第3位が脳血管疾患(約14%)となっています。これらの疾患は動脈硬化によって引き起こされるので、血管の老化を防ぐことは重要なことです。ガンを抑える免疫細胞の白血球とリンパ球は血液中を流れていて、血流が悪くなると必要なところに駆けつけるのが遅くなり、免疫力が低下していくことになります。活性酸素を消し去ることは、この点からも健康の維持には欠かせないことがわかるはずです。