フィットネス
■日本人はストレスに弱い
 ストレスを引き起こす原因をストレッサーと言いますが、これは人によってかかり方に大きな違いはありません。しかし、ストレスの現れ方と体の変調の度合いは人によって大きく違ってきます。ストレスの強弱は個人差が大きいのですが、日本人は特にストレスに弱い国民だと言われています。日本人は伝統的に農耕民族で、狩猟民族から発展した西洋の競争社会とは馴染みにくいところがあります。西洋化した現代社会で生きることは、日本人には常にストレスがかかった状態だと言えそうです。

 ストレスによって体に変調が起こるのは、脳から興奮ホルモンのノルアドレナリンが多量に分泌されて、自律神経の交感神経の働きが盛んになるからです。交感神経が盛んに働くと、血圧が上がる、心拍数が増える、呼吸数が増える、末梢血管が収縮するといった変化が起こってきます。これらの変化は、体が興奮状態になっているときの反応と同じで、ストレスは体に常に緊張を強いている状態です。ストレスが大きな原因とされている病気の中で目立って増えているのは過敏性腸症候群で、ほかにも胃潰瘍や十二指腸潰瘍、血糖値の上昇、免疫力の低下、腸内の善玉菌の減少など、さまざまな悪影響がストレスによって引き起こされているのです。ストレスを民族的に強く受けてきた人たちは、体の中にストレスと自然と戦う力が強く備わっています。

それに対して日本人は、ストレスに打ち勝つ力が弱いというわけですが、その違いはセロトニンという神経伝達物質の働きに関係しています。セロトニンは、不安や恐怖を弱めて、ストレスに対抗する力を高めるホルモンで、神経細胞の受容体と結びついて情報伝達を行っています。セロトニンは脳の神経細胞から分泌されたあとに、元の神経細胞に取り込まれて再利用されています。この再利用が多いほど、神経伝達がスムーズに行われ、ストレスの悪影響を受けにくくなっています。セロトニンの再利用がスムーズに行われなくなると、精神作用が低下して、鬱状態になりやすくなります。鬱の割合はアメリカでは1%ほどでしかありませんが、日本では5%にもなっています。日本人の鬱状態の97%はストレスが原因となっています。そして、年間3万人を超える自殺者の多くが鬱状態であったという報告もされています。セロトニンの再取り込みはホルモンを受ける受容体の遺伝子に関係していて、長いL遺伝子は取り込みやすく、短いS遺伝子は取り組みにくいために、S遺伝子が多い人は神経質で不安を抱えやすくなっています。日本人はS遺伝子のみが約68%、S遺伝子とL遺伝子の両方が約30%、L遺伝子のみは約2%となっています。

 それに対してアメリカ人はS遺伝子のみが約19%、S遺伝子とL遺伝子の両方が約49%、L遺伝子のみは約32%。日本人がストレスに弱いのは、この遺伝子の違いが影響していたのです。日本人はストレスに弱いことを意識して、ストレスがかかることを適度にかわしながら、ストレスは早めに解消することが大切だということです。