杉澤修一
 
ダイエット
■食べないダイエットの弊害
 やせるための一番の近道、それは食べないことです。でも、そんなことをしたら体に何らかのダメージが残ります。そんな食べないダイエットの弊害として、特に大きく取り上げられているものの一つが拒食症と過食症の摂食障害です。拒食症(神経性食欲不振症)は1970年代頃から注目されはじめ、増加しはじめました。その後、死亡例なども、いくつか報告され、社会問題ともなっています。

 拒食症は単に食べなくなるというものではないのです。食べないという行為を続け、次第に体重が減ったこと、やせたことに喜びを感じ、「体重を落としたい!」「やせたい!」という気持ちから、「より体重を落とさなければ……」「もっと痩せなければ……」となり、さらに「食べてはだめだ!食べることは最悪の行為だ」と思うようになります。「やせすぎている」「なにも、それ以上やせる必要はないのに」と思われるのですが、当人には忠告を聞く耳はありません。やがて体は栄養失調状態となり、肌に艶がなくなり、体力が落ち、女性の場合は生理がなくなるなどの症状が現れてきます。家族などが、その異常な状態を心配して、病院などに連れて行っても、当人はガンとして食べようとせず、食べはじめたとしても、すでに身体的に回復することができない状態になっていて、最悪な状態にもなってしまうのです。

 拒食症になりやすい人は内向的で生まじめ、目標を達成する強い意志の持ち主が多いだけに、周囲が早く気づき、素人判断せずに専門家に委ねるようにします。また、思春期の子どもがいる家庭では、できるだけ家族一緒にきちんと食事をする習慣をつけることが大切です。そんな拒食症とは反対の症状を示すのが過食症(神経性大食症)ですが、過食症は拒食症が引き金となって起こることが少なくありません。過食症は、その名のとおり、必要以上に食べるようになる病気ですが、食事制限のダイエットで拒食症から過食症になった場合は、ただ多量に食べるだけでなく、食べたものを無理に嘔吐するという行為がほとんどの場合に見られます。

 「食べてはいけないのに食べてしまった」という自己嫌悪から嘔吐し、それによって空腹感に襲われると、また多量に食べ、嘔吐するという悪循環が繰り返されるのです。極端な食事制限をすると、体は飢餓状態になります。拒食症でかたくなに食べない人以外は、飢餓防衛反応が起こり、猛烈な空腹感に襲われます。食事制限をしていて、途中で食べはじめると止まらなくなるということがありますが、それこそが飢餓防衛反応です。こうした体のメカニズムが、リバウンドを引き起こすのです。食事制限をする前よりも、リバウンドをして太ってしまったという人は少なくありませんが、これは次に食べられなくなったときのためにと、体が脂肪を多く蓄えるようにするために起こるものです。無理なダイエットには、必ずといっていいほど反動が起こるということを知っておいてください。