ダイエット
■食事制限は脳に負担がかかる
 ダイエットのために食事を控えて、思考能力がガクンと落ちた経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
食べないと頭がボーッとするのは気のせいではなく、生理学的にも明らかにされていることです。脳は体の中で小さいながら多量のエネルギーを消費します。脳の重さは体重の2%ほどですが、1日に消費するエネルギー量は全体の20%ほどにもなっています。頭をよく使う人ほどエネルギー消費が大きくなる傾向があります。1日に450〜500kcalものエネルギーを使っているので、これだけを食事で確保なければエネルギー不足となり、これが満たされない場合には脳の活動が低下しはじめ、神経細胞が死んでしまうリスクもあります。

とはいっても、ダイエットが必要なほど体に脂肪がついているので、それで補えるのではと考える人がいるかもしれません。たしかに、体は摂取エネルギーが不足すると蓄えていた糖質や脂肪をエネルギー源に利用する仕組みになっていますが、脳だけは違っていて、糖質の中でもブドウ糖しか使えないのです。しかも、脳のブドウ糖は蓄えられる時間が約15時間と決まっているので、この時間内に外からブドウ糖を取り入れないと足りなくなってしまいます。ダイエット目的ではないにしても、食事を摂らないでいると集中力が低下して、頭が回らなくなってくるのは、このブドウ糖不足のせいなのです。

当然のことながら、朝食を抜くのは脳にとって、とても過酷なことで、ガソリンがほとんどないクルマのアクセルをガンガン踏み込んでいるような状態と同じということになります。それを続けていたら、エンストを起こして、ストップしてしまいます。過激な食事制限をしたり、脳のエネルギー源となるブドウ糖が豊富に含まれている糖質(炭水化物)などの食品を制限していると、徐々に脳が縮んでいくというリスクもあります。脳が萎縮するのは50代ころからといわれますが、それ以下の年齢でも無理な食事制限を続けていると脳の神経細胞を結びつけているシナプスが消滅して、最終的に脳神経細胞も死んでいくといいます。脳の栄養不足によって大きなダメージを受けるのは、大脳の中心部にあって記憶を司っている「海馬」です。新しい知識を吸収するためには、この海馬が元気に働いていることが必要で、働きが鈍ってしまうと物忘れが激しくなり、最終的には痴呆となってしまうことがあるのです。

 いずれにしても一度ダメージを受けた脳の細胞は復活することはありません。それだけに無理な食事制限を続けていると、血気盛んな青春時代は無事に過ごせても、年齢を重ねたときには痴呆状態になってしまうことが考えられます。食事を減らすだけのダイエットではなく、運動も加えることがすすめられるのは、こういった理由もあるのです。