食
食事バランス 
  人間の始まりは今から120万年ほど前のピテカントロプスといいますが、猿と人間の違いとして決定的な点は食べ物の内容なのです。猿は限られたものを食べても生きていけますが、人間は食べなければ生きていけないものが数多くある雑食となっています。体を構成するたんぱく質のもとであるアミノ酸は、人間の場合には20種類あります。このうち9種類は体の中では合成されないか、合成されても量が少ないために食品から摂る必要があります。そのことから、これらのアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれています。アミノ酸は20種類のうち1種類でも必要量に達していないと、一番低い充足率のレベルになってしまいます。そのため、アミノ酸が不足しないように、必須アミノ酸のバランスを考えた食品の組み合わせが必要となります。必須アミノ酸が必要量に達しているものとしては肉、魚、貝、卵、乳製品があげられます。

これらの食品だけを食べていればアミノ酸のバランスを取ることはできます。よく「卵は完全食」というような表現がされます。しかし、栄養のバランスがアミノ酸だけ足りていればよいというわけではなく、ビタミン、ミネラル、脂質、食物繊維などもバランスよく摂らなければ健康を維持していくことはできません。ビタミンもミネラルも動物性食品に多く含まれているものの、植物性食品に多く含まれるものもあって、両方の食品を食べなければいけません。同じ動物性食品であっても、肉と魚では含まれる栄養成分が異なり、魚も青魚と白身魚、赤身魚というように種類によって成分量は異なっています。

 数あるダイエット法の中には、総称して“単品ダイエット”と呼ばれる「これだけ食べてやせる」というものがあります。エネルギー量の低さやエネルギー消費に役立つ成分だけを考えれば、それもあるだろうなという食品でも、雑食という人間の体の仕組みを考えれば、少ない種類のものだけを食べて健康が保てるはずはありません。日本人は魚介類、穀類、豆類、幅広い種類の野菜などを中心にして、これに少量の肉類を摂ることで、健康的な体を作ってきました。日本人が肉類をよく食べるようになったのは今から60年前の戦後からで、その当時と比べると肉の消費量は6倍以上にもなっているといいます。不足していた肉類が増えるにつれて血管が丈夫になり、健康度も上がってきましたが、肉類が増えすぎると今度は生活習慣病が増える結果となりました。体に必要な栄養成分の量とバランスが取れていることも大切ですが、日本人の体質と過去からの食生活に根付いた食品のバランスも考慮して、栄養バランスを語りたいものです。